長期入院になると医療費がいくらになるのか心配ですよね?でも大丈夫!例え医療費が高額になったとしても、「高額医療制度」を利用すれば、医療費の自己負担額を減らすことができます!「高額医療制度」は誰でも利用できる制度です!知らなければ損をしてしまいますので、ぜひどんな制度でどのように申請するのかを理解しておくとよいでしょう。
目次
Ⅰ.高額医療制度を理解する3つのポイント
- 健康保険に加入している人(すべての日本国民)なら誰でも利用できる制度である
- 保険外診療は、高額医療制度の対象にならない
「差額ベッド代」や「入院時の食事代」は対象外である - 医療費の家計負担が重くならないよう、病院に支払う1ヵ月の医療費がある一定の限度額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた額を支給してくれる制度
では、上記の3つのポイントにわけてもう少し詳しく解説していきましょう!
①全国民が使える制度
※公的医療保険とは、具体的には、健康保険・船員保険・共済保険・国民健康保険があります。日本では、すべての人が公的医療保険に加入することになっていますね。
保険適用の医療費がある一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合であれば、誰でも高額医療制度が使えます!
※妊娠は病気ではないため、通常の出産の場合は保険適応にはなりません。そのため、正常分娩の出産費用には高額医療制度を使うことができません。
切迫早産や妊娠高血圧症候群などの妊娠中のトラブルでの入院や、帝王切開で入院した場合には高額医療制度の適用となります。
②対象となるのは保険適用の医療費(3割負担になる医療費)のみ
実は、高額医療制度はかかった医療費のすべてに適用になるわけではありません!
高額医療制度の対象となるのは、保険適用される診療に対し支払った医療費のみです。(いわゆる健康保険が適用されて3割負担で支払う医療費が対象になります)
入院中の「食事代」や「差額ベッド代」、「正常分娩の出産費用」「先進医療の治療費」等は高額医療制度の対象にはなりません。
③病院に支払う1ヵ月の医療費がある一定の限度額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた額は支給してもらえる!
高額医療制度とは、保険診療による医療費が、ある一定の限度額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分のお金は加入している健康保険から支給されるという制度です。
自己負担限度額について知ろう!
医療費が高額の場合に、所得の違いによって自己負担する金額の限度額が法律で定められています。これを自己負担限度額といいます。ひと月の自己負担限度額は、加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって設定されています。
1.<70歳未満の方の区分>
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
①区分ア 年収約1,160万円以上の方 (標準報酬月額 83万円以上の方) |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
②区分イ 年収約770万~約1,160万円の方 (標準報酬月額 53万~79万円の方) |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
③区分ウ 年収約370万~約770万円の方 (標準報酬月額 28万~50万円の方) |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
④区分エ 年収約370万円以下の方 (標準報酬月額 26万円以下の方) |
57,600円 |
⑤区分オ(低所得者) (被保険者が市区町 村民税の非課税者等) |
35,400円 |
※総医療費とは、保険適用になる前の医療費のこと!私たちは病院に3割負担額を支払っていますよね?その3割負担額になる前の金額、10割負担だったらいくらか?というのが、総医療費です。
2.<70歳以上の方の区分>
70歳以上の方の区分について詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページへ
参考:平成29年8月から平成30年7月診療分まで
平成30年8月診療分から
実際に「自己負担限度額」を計算してみよう!
まず、上記の「自己負担限度額」の区分表と自分の所得を照らし合わせてみましょう。
(例)私の場合、入院したはじめの月は
「区分ウ」の計算式【80,100円+(総医療費-267,000円)×1%】
に当てはめて計算します。この月の総医療費は65万4230円でした。
80,100円+(654,230円-267,000円)×1%
=80,100+387,230×0.01
=83,972円
よってこの月の私の自己負担限度額は8万3970円でした。(10円未満四捨五入)
※「差額ベッド代、入院食事代」等は高額医療制度の対象にはなりませんので、実際は病院の窓口で、「自己負担限度額の8万3970円」に「差額ベッド代、入院食事代」等をプラスして支払う必要があります。
※上の計算式がややこしくてよくわからない!という方はすべて無視してもらっても大丈夫です!上の計算式のことはすべて忘れて、下の計算シュミレーションに数字を当てはめてみましょう!
所得区分がわからない方は、高額医療制度を申請をすれば「あなたの自己負担限度額の所得区分はこれですよ」と通知が送られてきます!ですので、それをみましょう!
高額医療費を簡単に計算シュミレーションしたい方はこちら!
引用サイト:全国健康保険協会 協会けんぽ
自己負担限度額については理解できましたか?
高額額医療制度は自己負担限度額を超えた額は支給してもらえる制度でしたね?
実際の入院では、一体いくらくらい支給してもらえて、実際にいくら払うのか気になりますよね?私が実際に2か月半の入院で支払った金額を見ながら、高額医療制度についてもう少し掘り下げていきましょう。
高額医療制度を使うと、実際の入院費はいくらになるの?
私の場合は切迫早産で入院となり2か月半入院しましたが、高額医療制度を利用し医療費をかなりおさえることができました。以下は私が入院中実際にかかった医療費です。参考までにご覧ください。
【私の場合の実際にかかった入院費:2か月半分】
(※以下の医療費は保険適用診療のみであり、ここに食事代や差額ベッド代は含まれておりません)
入院費は1ヵ月ごとに請求がきます。わたしの場合、2か月半の入院でしたので、3回に分けて請求がきました。請求額は以下をご覧ください。
- 入院した月:
①総医療費65万4230円→②3割負担額19万6270円→③実際に払った額8万3970円 - 翌月:
①総医療費145万990円→②3割負担額43万5300円→③実際に払った額5万7600円 - 翌々月:
①総医療費59万8970円→②3割負担額17万9690円→③実際に払った額5万7600円
※①健康保険が適用前の総医療費(10割負担額)を記しています。
※②健康保険が適用された3割負担の金額です。
普段みなさんも病院へ行くと、健康保険を提示して3割負担の額を病院に支払っていますよね。簡単に言うと、私たちが病院へ行って普段請求されている金額のことです。
※③高額医療制度を利用した後の金額で、自己負担限度額といいます。私が実際に病院に支払った金額がこちらです。
①総医療費 | ②3割負担額 | ③実際に払った額 (自己負担限度額) |
|
入院した月 | 65万4230円 | 19万6270円 | 8万3970円 |
翌月 | 145万990円 | 43万5300円 | 5万7600円 |
翌々月 | 59万8970円 | 17万9690円 | 5万7600円 |
合計 | 270万4190円 | 81万1260円 | 19万9170円 |
2ヵ月半の医療費の合計:
①総医療費は270万4190円であり、
②健康保険が適用された3割負担額は81万1260円でした。
③高額医療制度を利用したため、実際は19万9170円 の支払いですみました。
(※私の場合、入院したはじめの月とその翌月以降で支払った金額が違うのは、高額医療制度の自己負担限度額の区分が途中で変更になったためです。自己負担限度額は所得により決まっていますが、妊娠してから夜勤勤務ができず所得が減ったため途中から自己負担限度額も下がりました。通常は途中で所得区分の変更があることは少ないと思いますので、ここは深く考えずに「ふーんそうなんだ」くらいで流しておいてください。)
【切迫早産の実際にかかった入院費についてさらに詳しく知りたい方はコチラ↓】
切迫早産の入院費|明細すべて公開!1ヵ月の入院費内訳まるわかり!
上記で実際にかかった入院費について話してきましたが、このように高額医療制度は、どんなに高い金額を請求されても一定の金額(自己負担限度額)以上は支払わなくて済むという大変ありがたい制度なのです!
本来なら3割負担額を支払いますね。私の場合は、上記の入院費をみると、3割負担額は約81万円でしたね。それが、高額医療制度を利用することで、約20万円になっていましたね!
このように、自己負担限度額(私の場合は約20万円)を超えた金額(約81万円ー約20万円=約61万円)は健康保険が負担してくれるのです!
約61万円も負担してくれるのですよ!!びっくりですよね?
切迫早産のような長期入院になる場合は本当に助かるありがたい制度です!
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Ⅱ.入院したらまず高額医療制度を申請しよう!
①事後に手続きする場合
②事前に手続きする場合 (「限度額適用認定証」を利用する場合)
の2つの方法があるんだよ。
①事後申請:30万円を先に支払っておいて、後から約21万円が払い戻される。(実質約9万円支払ったことになる)
②事前申請:「限度額適用認定証」を提示すると病院への支払いがはじめから約9万円ですむ。
その違いだけだよ。結局病院に支払うお金は一緒なんだ!
※年齢70歳未満・所得区分「標準報酬月額28万~50万円」の場合
申請の窓口はどこになるのですか?
高額医療制度は自分が加入している保険の窓口で申請するんだよ。
申請窓口は、国民健康保険の場合は市役所や町役場、組合・共済健康保険の場合はそれぞれ加入している健康保険組合など、加入している保険者によって違うから、保険証に記載されている保険者に問い合わせをしよう!
事後申請の場合、申請期限は治療を受けた翌月1日から2年以内となります。 2年以上経過すると高額医療制度は申請できなくなるので忘れないように注意しましょう!また申請後、払い戻しまでは約3か月程度かかるようです。
私の場合は切迫早産での入院であり、あらかじめ長期入院になるかもしれないとわかっていたため、高額医療制度の事前申請をしておきました。
私が行った事前申請の方法は、
- 自分の加入している保険会社に電話をして高額医療制度を申請したいことを言うと申請用紙が送られてくる
- その申請用紙に必要事項を記入し、また送り返す
- 約1週間後くらいで「限度額適用認定証」が送られてくる
申請方法はこれだけです!「限度額適用認定証」が送られてきたら、すぐに病院の窓口に提示しておきましょう!それさえしておけば、窓口で支払う額は自己負担限度額ですみます!(窓口で支払いをする際は自己負担限度額にプラスして、入院中の食事代や差額ベッド代等がかかります)
ここまで、申請窓口や申請方法についてお話しましたが、
「いまいちよくわからない。なんだかややこしそうだな。」と思われた方も大丈夫です!
総合病院と言われる大きな病院には大抵1階などの受付に、高額医療制度など患者さんに必要な手続きをお手伝いしてくれる窓口(「患者支援センター」や「各種相談窓口」など)があります!万が一こういった窓口がなかった場合でも、病院内には高額医療制度に詳しい医療事務の方などが必ずいるので、聞けば詳しく教えてくれるでしょう!
私も高額医療制度を利用するのは今回が初めてでよくわからなかったため、患者支援センターで色々と教えてもらいながら手続きをおこないました。みなさんもわからない場合はぜひ利用してみましょう。
Ⅲ.まとめ
高額医療制度についておさらいをしましょう。
高額医療制度とは?
ひと月の医療費がどんなに高額になったとしても、自己負担限度額以上は払わなくてもよい制度。超えた金額は健康保険が負担してくれる。
自己負担限度額とは?
医療費が高額の場合に、70歳以上かどうかや所得の違いによって自己負担する金額の限度額が法律で定められている。これを自己負担限度額という。
どんな人が使える?
誰でも使える!
ただし、利用できるのは、保険適用の医療費が自己負担限度額を超えた場合のみである。
申請窓口や申請方法は?
自分が加入している保険の窓口に問い合わせをして申請する。
事前申請と事後申請する方法があるが、入院費が高額になることがあらかじめわかっている場合は事前申請しておく方をおすすめする!