胸にしこりをみつけると、乳癌かもしれないと怖くなるかもしれません。胸にしこりがみつかった場合はすぐに検診に行くことをオススメしますが、検診の結果「線維腺腫ですね。」と言われた方もいると思います。聞きなれない言葉に、「それは何?大丈夫なの?」と思う方もいるでしょう。ここでは、あまり聞きなれない「線維腺腫」について詳しく解説していきましょう。
目次
Ⅰ.線維腺腫とは?
線維腺腫とは、乳房に「しこり」ができる病気であり、10代後半~30歳代の若い女性にできやすい良性の腫瘤です。癌化することは極めてまれであると言われています。
乳癌は40~60歳代の女性に多く、若い女性にできる「しこり」は、この線維腺腫や乳腺症であることが多いとされています。「しこり」は片側だけでなく、両側にできることもあり、触ると弾力がありコロコロとよく動くのが特徴です。
※乳癌の好発年齢は40~60代と閉経前の女性に多いとされていますが、若い女性に乳癌ができないというわけではありません。近年、乳癌は増加傾向ですので、若い女性でも乳癌になることもあるということは理解しておきましょう。若い女性でも必ず乳房の自己触診は定期的に行うことをおすすめします。
Ⅱ.線維腺腫の原因
今のところ、明確な原因はわかっていません。
しかし、若い年齢の女性に多いことから、乳腺の発達と乳腺組織の増加によって起こるとも言われています。
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Ⅲ.線維腺腫の症状は?痛みはある?
症状は「胸のしこり」ができることです。しこりを押すと痛いという方もいますが、ほとんどの場合は痛みはなく、線維腺腫の自覚症状はしこりが触れるだけという方が多いです。
しこりの特徴は、1~2センチ程度であり、弾性があり、触るとコロコロとよく動くことです。しこりは、1つだけできることもあれば、両方の乳房に数個できることもあります。
通常、繊維腺腫であれば、しこりは大きくなることはありませんが、まれに巨大線維腺腫と言って、しこりが10センチ以上になる場合もあります。
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Ⅳ.線維腺腫の検査は?針生検は必要?
超音波やマンモグラフィーで画像検査を行います。
画像上、線維腺腫だと見えた場合でも、葉状腫瘍と間違える場合もあるため、確定診断となるのは針生検です。針生検とは、しこりに針を刺して組織を取り出し、悪性か良性かの判断を行います。
Ⅴ.線維腺腫と間違えやすい、葉状腫瘍とは?
葉状腫瘍は、線維腺腫とよく似ているため間違えやすく、鑑別することが難しいとされています。しかし、葉状腫瘍は悪性化することがあり、悪性の場合は転移もしやすいため注意しなければなりません。
葉状腫瘍は線維腺腫よりも、しこりが少し大きいことが特徴であるため、少し大きいしこりの場合は切除して生検することが望ましいとされています。
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Ⅵ.線維腺腫以外に胸にしこりができる病気
①乳癌
乳癌のしこりは硬く、触っても動きにくいことが多い。しこりがある場所がえくぼのように陥没していたり、乳首から出血があることもある。
よくできる年齢としては40~60代であるが、20代でもできることはあるため、普段から自己触診することが大切である。
②乳腺症
乳腺の増殖や萎縮などを繰り返すことで、乳腺が硬くなったり、のう胞(袋の中に液状成分が溜まりしこりとして触れる)を形成しており、乳房の痛みや腫れ、乳首からの異常分泌(血、乳汁様、漿液性など)がる場合を乳腺症という。
30代後半~閉経前後の女性に多い。
③葉状腫瘍
線維腺腫よりもやや大きいしこりができるといわれているが、線維腺腫と鑑別するのは大変難しいとされている。再発することや、悪性化することがあるため、注意が必要である。
④乳腺炎
授乳中に多い。乳汁が詰まると、炎症が起こり、赤く腫れて痛みや熱、しこりができる。
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Ⅶ.線維腺腫の治療法
線維腺腫は「良性のしこり」であり、癌化することは極めてまれであるため、基本的には経過観察を行い何も治療はしません。線維腺腫のしこりは、年齢と共に小さくなることもあり、触れてもわからなくなる場合もあります。
発見した時点で既に大きいもの(3センチを超えるしこり)や、急激に大きくなる場合は、乳癌や葉状腫瘍の可能性があるため、手術でしこりを取り除くこともあります。
Ⅷ.さいごに
胸にしこりをみつけると、検査を受けるまでとても不安になると思います。しかし、しこりがみつかったからと言って、すべてが悪性であるわけではありません。線維腺腫は、良性のしこりであるため、安心してもらっても大丈夫ですが、定期的に自己触診を行う、乳癌検診を受けることは大切です。
現在、乳癌は女性で一番多い癌であり、12人に1人は乳癌になると言われています。乳癌の多くは、他の癌と違って自分で見つけることができる癌ですので、自己触診は必ず行いましょう。1ヵ月に一度、月経最終日から1週間後くらいに行うのが一番良いとされています。