プロが教える!妊娠中の子宮筋腫は赤ちゃんにどんな影響があるの?

近年、妊婦が高齢化していることと関連して、子宮筋腫を合併した妊婦さんが増加しています。子宮筋腫は、妊娠中は増大しやすく、痛みや発熱などをきたすことがありますし、流産や早産、前期破水の原因となることもあります。また、子宮筋腫の位置によっては、体位異常や分娩時の通過異常を起こすこともあるため、注意しなければなりません。
では、妊娠中の子宮筋腫について、詳しくご紹介していきましょう。

Ⅰ.子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは、子宮に発生する良性の腫瘍のことをいい、30歳~40歳代の女性によくみられます。
妊婦では、全妊婦のうち0.45~3.1%に合併すると言われています。

子宮筋腫は発生部位により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分類されますが、妊娠に最も影響があるのは、筋層内筋腫です。

筋層内筋腫とは、文字通り子宮の筋層内にできる筋腫のことであり、子宮筋腫の分類の中では最も多く、多発しやすいと言われています。筋腫の発育により、子宮自体が増大したり変形するため、妊娠時に影響が出やすいのです。

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Ⅱ.妊娠中の子宮筋腫って症状はあるの?

一般的な子宮筋腫の症状は、

  1. 過多月経
    月経周期は正常であるが、毎回の月経量が異常に多いものをいう
  2. 月経困難症
    月経に随伴して起こる病的症状で、日常生活に支障をきたすような下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢、憂鬱などがあります。
  3. 不正出血
  4. 貧血

上記のような症状が、子宮筋腫の症状として代表的ですが、妊娠中は子宮筋腫がない場合でも上記のような症状があることもあります。

また、子宮筋腫があった場合でも症状が全くないこともあるため、妊娠中に子宮筋腫があると自分で発見することはまず難しいかと思います。
何かおかしいなと思うことがあった場合は必ず受診をするようにしましょう。

また、子宮筋腫を見つける方法についてですが、妊娠中は妊婦検診でエコー検査を行います。子宮筋腫はエコー検査を行うことで、筋腫があるのか、ないのかを見ることができます。そのため、症状がない場合でも、検診を行えば子宮筋腫の有無はわかるでしょう。

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Ⅲ.子宮筋腫があると「妊娠中」にどんな影響がある?

1.子宮筋腫が胎盤の直下にできた場合

胎盤への血流を妨げてしまうため、以下のようなことが起きる場合があります。

①流産

流産とは、妊娠22週未満の妊娠の中断のことをいいます。
妊娠12週未満の流産を早期流産、12週以降22週未満までを後期流産とよびます。

流産の確率は一般的に全妊娠の約15%であり、そのうちの80%が早期流産です。
しかし、母体の加齢とともに発生頻度は高くなり、特に40歳以上では流産率は25%にもなります。

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②早産

早産とは妊娠22週から37週未満の分娩をいいます。
早産で生まれてくると、発育不良で未熟児が多く、週数が浅い場合は障害が残る場合もあります。出産時期が正期産に近い程、予後は良好とされていますが、34週未満は合併症が出現するリスクが高いといわれています。

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③常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)とは、正常な位置に付着している胎盤が、妊娠中または分娩中の児が出てくるよりも先に子宮壁から剥がれてしまう状態をいいます。発生頻度は0.5~1.3%です。
常位胎盤早期剥離は、母体死亡率、胎児死亡率が高く、非常に危険性が高いため、早期発見・早期治療が必要です。

2.子宮筋腫が多数できた場合

子宮筋腫がたくさんあると、子宮の形がいびつになり、変形してしまうことで以下のようなことが起きる場合があります。

①前期破水

前期破水とは、陣痛が始まる前に卵膜がやぶれて羊水が子宮外にでてしまうことをいいます。これにより、膣内の細菌が羊水中に入り感染し、胎児が感染を起こしてしまう危険性があります。

②胎位・胎勢の異常

子宮が変形してしまうことで、逆子になってしまったり、胎児が本来とるべき体勢を保つことができなくなってしまうため、帝王切開が必要になる場合があります。

③前置胎盤

前置胎盤とは、受精卵が正常な位置に着床せずに子宮口に近い位置に着床してしまうことで、胎盤が内子宮口を覆う状態になってしまうことをいいます。
前置胎盤は、大量出血の危険性があるため帝王切開が必要となります。

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Ⅳ.子宮筋腫があると「分娩中」にどんな影響がある?

子宮筋腫があることで、筋腫が胎児の産道通過を妨げたり、子宮収縮を妨げてしまいます。そのため分娩中は以下のようなことが起こる危険性があります。

①産道通過障害

胎児が産道を通る時に子宮筋腫が邪魔になり通過障害を起こしてしまいます。この場合は帝王切開を行う必要があります。

②微弱陣痛

陣痛が弱く分娩が進行しない状態を微弱陣痛といいます。筋腫があると、子宮収縮がうまくできずに微弱陣痛になってしまう場合があります。微弱陣痛により出産が長時間かかってしまう場合は帝王切開が必要になることもあります。

③分娩時出血(弛緩出血)

分娩第三期または、胎盤娩出後に、子宮収縮不良のため異常出血を起こすことを分娩時出血(弛緩出血)といいます。これも、筋腫があることで子宮がうまく収縮できないために起こります。

Ⅴ.子宮筋腫があると「産褥期」にどんな影響がある?

子宮筋腫があることで、出産後子宮が元に戻ろうとする産褥期には以下のようなことが起こる危険性があります。

子宮復古不全

通常、出産後の産褥期には一定の状態で子宮が復古(収縮)していきます。しかし、分娩後に子宮の収縮不良により子宮の復古が進まない状態を子宮復古不全といいます。子宮復古不全が起こると、産褥1~2週間経過しても血性の悪露が持続します。

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Ⅵ.妊娠中の子宮筋腫の治療法は?


妊娠中に子宮筋腫があると言われました。
子宮筋腫の治療はどうするのでしょうか?

妊娠中は、子宮筋腫の大きさ・形状の変化・筋腫がある位置を確認し、保存的療法が行われることが選択されます。

子宮筋腫がある場合は必ず帝王切開をするのですか?

子宮筋腫があるからといって必ずしも帝王切開になるわけではありません。子宮筋腫の大きさやできている場所を考慮してどのように出産するのかが決まります。
子宮筋腫が胎児の娩出に影響を与える場所にある場合は、帝王切開で胎児を娩出しなければならない場合もあります。

一般的に子宮筋腫の治療法は、子宮を残して筋腫のみをとる筋腫核出術と、子宮ごと全て取ってしまう子宮全摘術があります。もちろん、筋腫が小さく症状がほとんどないような場合は手術をせずに様子観察の場合もあります。

しかし、妊娠中に子宮筋腫がある場合は、筋腫をとる手術は行えないため、一般的にはリスクに注意しながら保存的療法を行うことが選択されています。
その場合は、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴで述べたような危険性に注意しなければなりませんし、分娩後には子宮復古不全を起こさないよう、子宮収縮を促進する必要があります。
子宮筋腫があることで、胎児が出てくる妨げになる場合や、母児共に危険を伴う場合等は帝王切開になる場合もありますので、医師に治療方針について確認してみましょう。

Ⅶ.最後に

妊娠中に子宮筋腫があると言われた方は、今後どのようなことが起こる危険性があるのかについて少しおわかりいただけたでしょうか?

子宮筋腫がある場合は、必ず医師に今後のどのような危険性があるのかや、どのような治療を行うのか、帝王切開になるのか等についてしっかり聞きましょう。

子宮筋腫があっても、無事出産することは可能です。しかし、リスクがあることも念頭において、帝王切開になることもあるということを理解しておきましょう。

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