切迫早産の治療法を看護師がわかりやすく徹底解説!

妊婦検診

切迫早産と診断されると、早産にならないよう治療が必要となります。基本的な治療は、「安静にする」ことや「子宮収縮抑制剤の使用」を行います。しかし、破水している場合や、子宮内感染を起こしている場合では、「抗菌薬」や「ステロイド」の投与など必要な治療が異なります。
「どのような治療が必要なのか?」を私の実体験・看護師としての知識を元に、わかりやすく解説していきます。

Ⅰ.切迫早産の治療は、安静と子宮収縮抑制剤の使用が基本!

①安静にする

切迫早産の治療に必要なことは、とにかく「安静」にすることが一番です。

1.日常生活で気をつけるべきポイント

もしお腹の張りを感じた場合は、「座る」「横になる」などしてお腹の張りがおさまるのを待つことが大切です。お腹がよく張る場合は、座っているよりも寝ていた方がいいので、ベッドに横になりましょう。通常は、お腹の張りがあった場合でも、安静にすると自然と張りはおさまってきます。張りがおさまらずに続く場合、強くなる場合は必ず受診するようにしましょう。

2.入院管理で気をつけるべきポイント

入院中の安静度は、症状によって動ける範囲が異なるため、医師の指示に従う必要があります。しかし、入院になった直後は絶対安静の必要があることが多く、大抵はベッド上で過ごさなくてはなりません。症状がひどい場合は、「トイレは寝た状態でベッド上でする」「シャワー浴はダメ」「食事は寝た状態で食べなければならない」という場合もあります。症状が落ち着いてくると、安静度も解除され、活動してもよい範囲も広がります。

{私の体験談}切迫早産の治療はとにかく安静が大事!ベッド上でほぼ寝たきりだった過酷な入院生活!

私の場合、妊娠23週で切迫早産と診断されましたが、破水や感染の兆候は見られず、恐らく「ストレス」や「仕事で動きすぎていること」が切迫早産の原因だろうということでした。そのため、治療としては「なるべく安静にすること」と「ウテメリン(子宮収縮抑制剤)の内服」が開始になりました。

「なるべく安静にする」ということは、人によりとらえ方が違うと思います。私の場合、普段から仕事上、患者さんを抱えたり、バタバタと走り回ったりと動きが激しいため、自分の中では「なるべく安静に」を守っていたつもりでしたが、恐らくもっと安静にしていないといけなかったのでしょう。妊娠26週頃に、症状が悪化し、緊急入院となってしまいました。

入院後は「ウテメリンの点滴」と「安静」が必要となりました。下の表は私が入院後医師から守るように言われた「安静度」です。
※安静度とは…多くの疾病において、療養のために体を動かさないで安らかにしている度合いのこと

歩行 トイレ時のみ歩行可
基本的にベッド上で寝ていないといけない
トイレ 部屋にあるトイレのみ歩行で行ってもよい
食事 ベッド上で座って食事
シャワー 禁止
代わりに毎日タオルで清拭可
シャンプーは週1回
面会 症状が落ち着いていれば可

「安静度」は人それぞれ症状によって動いてもよい度合いが異なります。しかし、切迫早産で入院になる場合は緊急性があるため、安静度は厳しくほとんど動いてはいけない場合が多いと思います。トイレも歩いて行くことが許されず、ベッドサイドにポータブルトイレを設置される場合や、バルーンカテーテルを挿入される場合もあるでしょう。
※バルーンカテーテルを挿入とは…膀胱内に尿道口から膀胱までの尿道に管(バルーンカテーテル)を挿入して、その管(バルーンカテーテル)を介して尿を排泄する方法

動くことが制限される生活は本当に辛いものです。
私が安静にしなければならない生活で
「辛かったことワースト5」は、

とにかく暇ですることがない
ずっと寝たきりのため、腰痛や肩こりが悪化、体が怠くなる
シャワー・シャンプーが毎日できないため気持ち悪い
昼夜逆転になってしまい、夜が眠れない
ずっとベッドの上のため、気分転換ができない

上記に加え、「24時間点滴」をしているため寝ている時や食事時、トイレの時も点滴のルートを気にしながら過ごさなくてはなりません。自由に手を動かすことができないという拘束感や、点滴の副作用も辛く、入院生活は過酷なものでした。

入院して約1ヶ月がたち症状が少し落ちついてくると、

  • 病棟内であれば歩行OK
  • 週に2回シャワーに入ってもOK
  • 誰かが同伴の元、車椅子でなら院内の売店へも行ってもOK

と安静度も少しだけ拡大しました。少し動くことができる範囲が増えただけでも気分転換になり、ストレスも少し軽減しました。

とは言っても、入院中はやはり基本的には安静に過ごすことが大切です。調子にのって動きまわっていると、お腹が張ってくるので、やはり安静が大切だということは身をもって実感しました。

②子宮収縮抑制剤を使用する

子宮収縮抑制剤とは、切迫流産や切迫早産の治療に使用される薬です。子宮の収縮を抑え、おなかの張りや下腹部の痛みをとり、子宮の状態を正常に保って流産や早産の進行を抑える効果があります。比較的軽い症状のときには錠剤を使用しますが、緊急性がある場合には入院をして点滴になることが多いです。

{体験談}子宮収縮抑制剤を内服していたけれど緊急入院に!入院後は、約2か月半の間ずっと点滴が必要!

1.妊娠週数と使用方法
私は、切迫早産と診断された時に内服薬のウテメリン(子宮収縮抑制剤)を頓服で処方され、お腹が張った時のみ内服していました。
しかし、次第にお腹がよく張るようになると、頓服ではなく、朝・昼・晩・寝る前と1日4回の定期内服に変更。
妊娠26週で緊急入院になってからは、ウテメリンの内服は中止となり、点滴に変更になりました。入院中の約2か月半の間は24時間ずっと点滴が必要であり、結局出産まで点滴を外すことができませんでした。

切迫早産で入院すると、たいてい子宮収縮抑制剤の点滴は行うのですが、一度点滴を開始すると、私のように出産間際まで点滴が外せず、長期間入院になる方が多いと思います。

点滴を止めるということは、子宮収縮を抑えていた薬がなくなるわけですから、中には点滴を止めたその日に、そのまま陣痛がきてしまい出産となる方もいます。そのため、赤ちゃんが万が一外に出てきてしまっても大丈夫な34~36週頃になるまでは、点滴治療を継続しておこなっている方が多いようです。

2.副作用
子宮収縮抑制剤は副作用が強い薬であり、主な副作用として動悸や頻脈、手の震え、顔の紅潮、吐き気などが現れます

私の場合、ウテメリン錠剤を内服していた時に、最も強く現れた副作用は動悸と頻脈でした。内服後、約30分程度で動悸と頻脈が現れます。

  • 動悸…全力疾走した後みたいに心臓がバクバクして息苦しくなります
  • 頻脈…普段1分間に60~70回の脈が、110回くらいまで速くなり、手首の内側の血管が目で見てドクドクと脈打っているのがわかるほどでした

動悸や頻脈は内服後、2~3時間もすればおさまっていました。
その他には仕事でパソコンを使ったり、自宅で料理で包丁を握ったりと手に力をいれようとすると、手が震えだすというような副作用もありました。

しかし、本当に辛かったのは、入院後のウテメリンの点滴による副作用でした。錠剤の時とは比べものにならない程の激しい動悸が続き頭痛手のひらの湿疹全身の痒みもありました。早産にならないようにするためには止めれない薬のため、これらの副作用に耐えなければならなかったのは辛かったです。

切迫早産で入院となる方は、私と同じような子宮収縮抑制剤の使用方法をする場合が多いでしょう。しかし、破水や感染症がある場合は治療法が異なりますので、他の治療法もご紹介します。

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Ⅱ.切迫早産の治療として、抗菌薬やステロイド投与、帝王切開術、子宮頸管縫縮術を行う場合もある

切迫早産の治療法は「感染症の有無」「破水の有無」「週数」「児の状態」などによっても異なりますので、以下の3つの項目にわけて説明していきます。

①感染症の場合

感染症が原因で切迫早産になっている場合もありますが、このほとんどが絨毛膜羊膜炎によるものです。
絨毛膜羊膜炎とは赤ちゃんと羊水を包んでいる膜に菌が入り、炎症を起こしている状態

絨毛膜羊膜炎の場合は、

  1. 症状が現れていない状態(不顕性)と、
  2. 発熱などの感染症状が現れている状態(顕性

で治療法が異なります。

1.不顕性

症状が現れていない場合(不顕性)は、治療を行うことで感染の進行を止められ、早産の予防、妊娠の継続ができます

治療方法は、感染が広がるのを防止するために、「抗菌薬」の投与を行います。
また、早産予防のため「子宮収縮抑制剤」の投与も行います。
さらに、34週以前の場合は赤ちゃんの肺の構造が十分に完成していないため、赤ちゃんの肺機能の成熟を高めるために「副腎皮質ステロイド」の投与も行います。

※副腎皮質ステロイドをなぜ投与するの?
胎児の肺は妊娠26週には構造が完成し、34週には肺の機能が十分成熟します。よって34週以前では、自力で呼吸ができず胎外生活に適応できません。

副腎皮質ステロイドを投与することで、胎児の肺を成熟させることができます。また、肺機能の成熟だけでなく、脳・皮膚・消化官の成熟も促進させる働きがあります。

2.顕性

子宮収縮に加え、発熱など絨毛膜羊膜炎の症状が現れている場合(顕性)は、治療をおこなっても進行を止められず、多くの場合は早産になってしまいます
以下の表は、顕性絨毛膜羊膜炎の場合の治療方法です。妊娠週数により治療法も異なりますのでご覧下さい。

妊娠週数 治療
妊娠26週未満 極力妊娠の継続がはかられ、抗菌薬と副腎皮質ステロイドの投与を実施
妊娠26~34週 ケースによる。抗菌薬と副腎皮質ステロイドの投与、もしくは、分娩(陣痛発来待機)
妊娠34週以降 分娩(陣痛発来待機)もしくは、分娩誘発or帝王切開(ターミネーション)を考慮

表のように、妊娠26週未満では胎児が未熟であるため、極力妊娠が維持できるようにします。しかし、ほとんどは治療を行っても分娩(早産)になってしまうケースが多いです。また、妊娠34週以降であれば、胎児の肺機能も成熟しているため、基本的にはターミネーション(分娩誘発or帝王切開)を行います。妊娠26~34週でも、児がある程度成長していればターミネーションを行います。
※ターミネーションとは
妊娠の終了」を意味し、ハイリスク妊娠において母児の状態と予後を考慮して、計画分娩や帝王切開を検討することをいう

②破水している場合

破水した場合も、妊娠週数や感染の有無により対応が異なります。

1.妊娠34週未満の場合

児の肺機能が成熟していないため、可能な限り妊娠の継続を行う必要があり、治療としては副腎皮質ステロイド+抗菌薬投与を行います。

  • 副腎皮質ステロイド…児の肺機能の成熟、脳・皮膚・消化官の成熟も促進のために使用
  • 抗菌薬…破水した場合は卵膜が破れているため、感染する恐れがあります。そのため感染予防に抗菌薬を使用します

2.妊娠34週以降の場合

妊娠34週以降は、胎児の肺機能も成熟しており、生まれてきたとしても合併症なども少なく予後が比較的良好とされています。破水すると感染のリスクがあるため、基本的には分娩を行います

  • 破水後24時間以内に陣痛がきた場合は自然に出産になるのを待ちます。
  • 24時間以内に陣痛がこない場合は、分娩誘発剤を使用して分娩を促します。

③頸管無力症の場合

頸管無力症とは、妊娠中期に陣痛がないにもかかわらず子宮口が開いてしまい、子宮頸管が短縮し、妊娠が維持できなくなってしまう状態をいいます。発生率は0.05~1%と少ないですが、流産・早産の原因の約20%を占めています。
治療は頸管縫縮術(頸管を縫う手術)を行います。

Ⅲ.最後に

切迫早産の治療は、副作用も強く長期間になることが多いため辛いこともあります。しかし、元気に赤ちゃんを出産するためには治療を必ず行わなくてはなりません。切迫早産の治療は、妊娠週数や破水の有無、子宮内感染の有無、赤ちゃんの状態などによっても方法が異なりますので、どのような治療法があるのかを理解してもらえたらと思います。
切迫早産は、早産になってしまう場合もありますが、早産にならずに正期産(妊娠37週~40週)で出産できる可能性もあります。そのためには医師の指示に従い、治療をしっかり行うことが大切です。いつもと違う症状がでた場合や症状が強くなったなどの場合は早めに受診し医師に報告するようにしましょう。

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