私が産婦人科で看護師として勤務する中で、妊婦さんや産後のママから「妊娠中にシミが濃くなった、シミが増えた」「産後シミって薄くなるの?」など妊娠中から増える(濃くなる)シミに関しての悩みを相談されることがあります。
私自身も妊娠中、産後とシミに悩まされた一人です!
シミに関して相談してくれる方はいいのですが、「産後のシミで悩んでいるけど病院では相談していない」という方も多いのではないでしょうか?
そんなママのために、ここでは私が(看護師として)妊婦さんや産後のママにお伝えしていたシミに関する情報を解説していきたいと思います。
目次
Ⅰ.そもそも妊娠中や産後にシミが増えるのはなぜ?原因は?
①女性ホルモンのバランスの変化が原因
妊娠すると妊娠を維持しようと女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が増えます。これらの女性ホルモンはシミやそばかすを作るためのメラノサイトという細胞を活発にさせる働きがあるため、妊娠するとシミができやすくなるのです。
②産後のストレスが原因
産後は育児へのプレッシャーや、授乳などにより十分な睡眠時間が確保できないこと、自分の時間が持てないことなど、育児へのストレスが溜まりやすい時期になります。
ストレスはホルモンバランスと関係が深く、産後のストレスによりホルモンバランスが乱れるとシミができやすくなります。
③紫外線が原因
シミの原因といえば紫外線が代表的な原因と言えるでしょう。妊娠中や産後はホルモンバランの乱れから肌のバリア機能も低下しており、いつも以上に紫外線の影響を受けやすい状態になっています。
しかし、臨月や産後は自宅にいる機会も多く、ノーメイクで過ごしているという方も多いのではないでしょうか?
紫外線はガラスを通って家の中まで入ってきますので、家の中にいるからと言ってノーメイクで過ごすのは危険です。家の中でも日焼け止めだけは塗っておくことをおすすめします。
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Ⅱ.妊娠中にできたシミは産後消える?消えない?
妊娠中にできたシミは産後消えるよ!(薄くなるよ!)と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
しかし、産後にシミが消える(薄くなる)と期待していたのに、一向に消えない(薄くならない)!消えない(薄くならない)どころが、逆に産後シミが濃くなったなんて声もチラホラ聞かれます。
もちろん、産後にシミが消えた(薄くなった)という方もいますが、実際のところ産後にシミが消えるのか?消えないのか?気になりますよね!
実は、産後にシミが消えるか消えないか?薄くなるかどうかは、シミの種類や、お手入れ方法、ストレス度合などに関係します!!
では、妊娠中や産後にできるシミを種類別に見ていきましょう!
①妊娠や出産期に現れやすい肝斑(かんぱん)
画像出典:肝斑information
肝斑はホルモンの変動で現れやすいことから、妊娠すると出てきやすいシミと言われています。
肝斑のは、左右対称に両頬骨に沿ってモヤっと境界がはっきりせずにできるのが特徴です。頬骨以外にも、目の下を避けて両頬に広がる場合や額にできる場合もあります。
肝斑はホルモンの変動で出てきやすいため、ホルモンバランスが整ってくると肝斑は薄く消えていきます。
つまり、「産後は肝斑は薄くなる!?消える!?」
はい!通常は、薄くなって消えていくことが期待されます!!
産後シミが薄くなるよ!消えるよ!と聞いたことがある方は、産後に肝斑が薄くなった方のお話を聞かれたのかもしれませんね!
【私の体験談:産後のシミは消えました!!】
実は、私自身も妊娠期からシミが増え、濃くなり、本当に産後にこのシミは消えるのか?と内心ヒヤヒヤしていました。
しかし、ちゃんと産後1年程でシミは消えましたよ!!
正確には、消えたというより、元々妊娠前からあったシミは消えないので、濃くなっていたシミが薄くなったのかな!
産後半年くらいからだんだんシミが薄くなったなと感じ始め、産後1年経つと、ほほ骨にあったモヤっとしたシミは全く気にならなくなりました。顔全体も明るく白くなりました!
しかし!!
勘違いしてほしくないのは、肝斑の原因はホルモンの影響だけでないということです!
肝斑は、紫外線の影響も強く受けます!
つまり、妊娠中や産後に紫外線対策をなまけていると肝斑は濃くなる!!のです。
妊娠中は、仕事をしていたので毎日メイクをしていたけれど、産後は家にこもりがちでノーメイクで過ごすという方も多いのではないでしょうか?私が産後のママに確認したところ、産後に家の中でも日焼け対策をしていると答えた方はごくわずかでした。
産後シミが増えた!濃くなった!といわれる方は、妊娠中にできた肝斑が、産後は紫外線を直接浴びることでさらに濃くなった可能性があります!
私の場合は、産後1年程で濃くなったシミは消え、妊娠前の肌にキレイに戻りましたが、それは日焼け対策はしっかり行っていたからかもしれません!
入院中から、日中は必ず日焼け止めは塗っていましたし、産後も日焼け止めは家の中でも必ず塗っていました。外に出る時も日焼け対策は必ず行っていました!!
②紫外線が原因の老人性色素斑
画像出典:肝斑information
老人性色素斑とは、私たちがよく知っている最もポピュラーなシミのことで、主に紫外線が原因でできます。
特徴としては、丸く境界がはっきりしており、左右対称にはできません。大きさも数ミリから数十ミリ程度とさまざまな大きさがあります。
妊娠中や産後はホルモンのバランスが乱れやすいため、肌が敏感になっていることもあり、紫外線の影響も受けやすい状態になっています。
特に産後は、妊娠中に増加していた女性ホルモンが急に減少します。睡眠時間もしっかりとれないですし、育児でストレスを抱えてしまうママさんも沢山います。そのため、産後はホルモンバランスがなかなか整わず、シミができやすい(濃くなりやすい)状況と言えるでしょう。
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Ⅲ.簡単にできる妊娠中・産後のシミ対策!
では、妊娠中や産後にできたシミはどう対策すればよいのでしょうか?
実際私が(産婦人科看護師として)、産後のママさんに医師指導の下お教えしていた事を、私自身の体験も踏まえながらお伝えできればと思います。
①まずは紫外線対策!
とにかく第一優先すべきは、紫外線対策です!
老人性色素斑は紫外線が原因で濃くなりますし、肝斑も紫外線も影響を受けて濃くなるため、紫外線対策をせずしてシミは薄くなりません!
産後で育児に追われる日々は、どのママも家の中にこもりがち。よく耳にするのは、「家の中にずっといるからノーメイクで過ごしている」という声です!
そんなママさん方に私がまず指導するのは、
「家の中でも必ず日焼け止めを塗って下さい!!」
ということ!
ノーメイクでいることは悪いことではありませんが、家の中にも紫外線はしっかり侵入してきますので、家の中でも必ず日焼け止めを使用しましょう。
②肌を擦らない!丁寧な洗顔方法を!
肌を擦るとシミが濃くなる!ことはご存知でしょうか?
私が産後のママさんにこの質問をすると、約半数の方は「知らない」と言われます。
意外と知られていないようですが、肌に刺激を与えると、肌を守ろうとシミの原因であるメラニンを生成します。
妊娠中や産後は、肌が刺激を受けやすくなっているため、特に注意が必要です。
クレンジングや洗顔をする際は、「絶対に擦らないこと!優しく丁寧に泡で洗うこと!」を意識しましょう!
③産後はとにかく美白ケアを!
産後1年程で妊娠中にできたシミが綺麗に消えた私が、出産後特に力を入れていたのが「美白ケア」です!
「美白ケア」といっても、単に美白化粧品を使用していたわけではなく、「保湿」にも力を入れていました。
実は、シミ対策の基本は「保湿」にあります。
「保湿」をすることで肌のバリア機能がしっかり保たれ、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を促してくれるだけでなく、紫外線から肌を守ってくれます。
私が実際に行っていた「美白ケア」は、
お風呂からでると、必ずシートマスクをつけます!シートマスクは特別なケアと思われている方もいるかもしれませんが、そうではありません。毎日使えるようなリーズナブルなシートマスクがドラックストアに行けば沢山販売されています。
決して高価なシートマスクを使用する必要はなく、安価なものでも結構ですので、
大切なのは必ず毎日!することです!
産後は、なかなか自分の時間が持てませんよね?そんな忙しい毎日を送るママさんに、「毎日ゆっくり丁寧に化粧水をコットンに浸してパッティングして下さい!」なんて言っても続きません!
しかし、シートマスクなら顔に貼って用事をしているだけで、たっぷり「保湿」することができますので、ぜひやってみてください!
シートマスクを15~30分程放置したあとは、美白用の化粧水、美容液、クリームをつけます。※保湿クリームは乾燥を防ぐ蓋の役割をしてくれるため必須です!
美白用化粧品にはさまざまな成分が含まれていますが、
- ビタミンC誘導体
- トラネキサム酸
- ビタミンC
- ビタミンE
- アルブチン
などが含まれている美白化粧品がおすすめです。
④女性ホルモンを整える5つの方法!
産後は妊娠中に増加した女性ホルモンが急激に減少するためホルモンバランスが乱れやすくなります。
妊娠中や産後のシミはホルモンの影響を受けやすいため、ホルモンバランスが乱れるとシミが濃くなる恐れがあります。
つまり、言い換えると、ホルモンバランスが整えば産後、シミが自然と薄くなっていく可能性があるということです!
では、ホルモンバランスと整える方法について見ていきましょう。
- 栄養バランスのよい食事を摂る
バランスのよい食事は女性ホルモンの乱れに効果的です。 - ストレスを溜めない
ストレスを溜めることでホルモンバランスが乱れてしまうため、息抜きできる方法をみつけてストレスを溜めないようにしましょう。 - 身体を冷やさない
身体を冷やすと、全身の血流が悪くなり女性ホルモンが乱れやすくなります。 - 適度な運動をする
適度な運動はストレス解消にもなりますし、自律神経を整えてくれるため、ホルモンバランスを整えるのに効果的です。 - 規則正しい生活をする
生活リズムが乱れると、ホルモンバランスも乱れやすくなります。産後は赤ちゃんの夜泣きや授乳により生活リズムが乱れがちになりますが、無理をしない程度に規則正しい生活ができるよう心掛けてみましょう。
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Ⅳ.それでもダメならレーザー治療、内服治療を!
上記のようにシミ対策を自分自身でやってみたけれど、全然シミが薄くならない、むしろ濃くなったと思われる方は、専門医に相談されることをおすすめします。
なぜなら、一度できてしまったシミは、どうしてもご自身のケアだけでは薄くならない場合もあります。それを、悶々と悩んでいるよりもまずは専門医に相談してみましょう。
①肝斑には内服治療が効果的!
肝斑の原因はホルモンの変動ですので、産後しばらくするとホルモンバランスが安定し、肝斑も自然と薄くなっていきます。
早い方だと、産後2~3か月で肝斑は薄くなります。
私の場合は、産後半年くらいからシミ(肝斑)が薄くなってきたと実感し始め、産後1年たつと、妊娠中に濃くなっていたシミはほぼ消えてなくなりました。
しかし、中には産後1年以上経っても肝斑が消えない方がいることも事実!
産後、育児ストレスなどによりなかなかホルモンバランスが整わない方や、肌のお手入れをさぼっている方、紫外線をしっかり浴びてしまっている方など、原因はさまざまですが残念ながら産後に肝斑が濃くなってしまう方もいます。
肝斑を薄くしたいと思っているなら、専門的な治療を始めることをおススメします!
なぜなら、肝斑は内服薬で薄くすることが可能なシミだからです。
肝斑の治療薬としては「トラネキサム酸」を使用します。トラネキサム酸は体内から色素沈着を抑制してくれる効果があるため肝斑には大変有効な薬となります。
肝斑の専門的な治療を始めるかは、授乳が終わった頃の時期を目安にしましょう。つまり、「産後1年程経っても肝斑が薄くならない、濃くなった」と感じる方は、肝斑の専門的な治療を開始しましょう!
※トラネキサム酸は市販薬として「トランシーノ」が販売されていますが、妊娠中や授乳中の方が安易に内服をするのは避けた方がよいため、まずは専門医に相談しましょう。
②老人性色素斑にはレーザー治療が効果的!
老人性色素斑はレーザー治療で簡単に取ることが可能です!使用する機械は病院によってさまざまですが、よく聞かれるのは「Qスイッチルビーレーザー」でしょう。
価格帯も病院によってかなり異なるようですので、一度カウンセリングを受けられて納得してから受けられることをおすすめします。
また、妊娠中はレーザー治療を避けた方がよいとされていますので、出産後に受診をするようにしましょう。
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Ⅴ.「肝斑」「老人性色素斑」両方のシミがある場合どんな治療が必要?
実は、顔にできるシミは「肝斑」と「老人性色素斑」が混在している場合が多いということはご存知でしょうか?
一般的に私たちが「シミ」と呼んでいるものは、「老人性色素斑」です。「老人性色素斑」はわかりやすいので、ご自身でも発見しやすいのですが、「肝斑」は「専門家に見てもらってはじめて気がついた」という方も少なくありません。
ちなみに、「肝斑」はシミ用のレーザー治療を受けると濃くなってしまいます!
そのため、「肝斑」と「老人性色素斑」が両方ある場合は、先に「トラネキサム酸」の内服などで肝斑の治療を行ってから、レーザー治療を行うことがあります。
最近では、肝斑に使用することができるレーザーを取り入れている病院もありますので、その場合は「トラネキサム酸」の内服と肝斑用のレーザー治療を組み合わせて治療しているところが多いでしょう。
病院が使用している機械によって治療法は異なりますので、まずはカウンセリングをよく行うことが大切です!
Ⅵ.さいごに
妊娠中、産後は今まで気にならなかったシミが濃くなり悩んでいる方も多いと思います。
妊娠中にできる肝斑であれば、産後自然と薄くなりますが、紫外線対策をさぼっていると後で後悔することになるかもしれません。
妊娠中、産後もしっかり紫外線対策や美白ケアなどご自身でできることはしてみましょう。
それでもどうにもならない!という時は、一人で悩まずに専門医に相談することをおすすめします。シミ取りに抵抗があるという方も、レーザー治療だけでなく、内服治療や塗り薬での治療などもありますので、ご自身が納得できる方法での治療がみつかるはずですよ。
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