産休中は給料がでない会社がほとんどですが、その間の生活を支えるために健康保険から支給されるのが「出産手当金」です。産休中に手当金が出るのは知っている方が多いと思いますが、いくらもらえるのかや、申請方法について、退職してももらえるのかなど、詳しくは知らないという方がほとんどではないでしょうか?ここでは、そんな「出産手当金」に関する疑問をすべて解決できるよう、詳しく解説していきます。
目次
Ⅰ.出産手当金とは?
産休中の給料がない間の生活を支えるために、加入している健康保険から支給されるのが、「出産手当金」だよ。
※産休とは
産前6週(42日)、産後8週(56日)(多胎妊娠の場合は産前98日)の休みのことを言います。
正社員だけに限らず、契約社員やパート、アルバイトの方でも、勤務先の健康保険に加入して、1年以上勤務している方なら「出産手当金」を受取ることができます。
Ⅱ.出産手当金がもらえる3つの条件
出産手当金は、すべての人がもらえるわけではありません。以下の3つの条件を満たしている必要があります。では、その条件について見ていきましょう。
①会社員・公務員で勤務先の健康保険に加入していること。国民健康保険はダメ!
出産手当金をもらうには、勤務先の健康保険に加入していることが条件となります。
正社員だけでなく、パートや契約社員、アルバイトでも勤務先の健康保険に加入していれば対象となります。
しかし、専業主婦、自営業、パート、アルバイトで国民健康保険に加入している方は、出産手当金はもらえません。
会社員の方でも、加入している健康保険が国民健康保険の場合は、もらうことができません。
勤務先の健康保険に加入 | 正社員 | 〇 |
パート、契約社員、アルバイト | ||
国民健康保険に加入 | 正社員、専業主婦、自営業、アルバイト、パート等 | × |
②産休中、給料が出ないこと。もしくは、給料がでる場合は給料が出産手当金より少ないこと。
産休中は、給料が支払われない会社がほとんどですが、中には給料がでる会社もあります。産休中に支給される給料が、出産手当金より多い場合は出産手当金をもらうことができません。
出産手当金がでる条件として、
- 産休中は全く給料が支払われないこと
- 給料はでるが、給料が出産手当金より少ないこと
給料の3分の2以下であること(出産手当金との差額をもらうことができます。)
以上の条件が必要となります。
③妊娠4か月(85日)以上の出産であること
妊娠4か月以上であれば、早産、死産、流産、人工妊娠中絶でも出産手当金を受け取ることができます。
- 早産:妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産のこと
- 死産:妊娠22週以降の死児の出産のこと
- 流産:妊娠22週未満までに、なんらかの理由妊娠が中断してしまうこと
- 人工妊娠中絶:人工的な手段で意図的にその妊娠を中絶させること
法律上、人工妊娠中絶は妊娠22週未満までしか行うことができません
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Ⅲ.退職したら出産手当金はもらえる?もらえない?
出産を機に退職し、パパの扶養に入るという方もいると思いますが、出産手当金はもらえるのか、もらえないのか心配になりますよね?
安心してください!ある一定の条件を満たしていてば、退職していても出産手当金はもらえます。
では、その条件についてみていきましょう。
- 健康保険の加入が連続して1年以上あること
- 退職日が産休期間内に入っていること
出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産日後56日目まで - 退職日当日に出勤していないこと
欠勤・公休・有給休暇などで休んでいる場合も大丈夫です
以上の条件を満たしいていれば、退職後も出産手当金はもらえます。出産手当金をもらうには、退職日が重要になります。退職日に短時間でも出勤してしまったがゆえに、手当金がもらえないというような悲しいことにならないよう、退職日についてはよく考えて調整するようにしましょう!
Ⅳ.出産手当金はいくら?計算方法は?
まずは、出産手当金が一体いくらになるかを、下の計算式に当てはめて確認してみましょう。
出産手当金の計算方法
「月給」÷30=「日給」
「日給」× 3分の2 ×産休で休んだ日数=もらえる出産手当金
【例】
例えば「月給」が20万円の場合上記の計算式にあてはめて計算すると、
月給20万円÷30=日給6670円
産休は、産前42日+産後56日=98日(双子以上では産前98日)あるので、
日給6670円×2/3×98日=43万5800円
よってもらえる出産手当金は43万5800円となります。
※「月給」について知ろう!
上記の計算式の「月給」とは「標準報酬月額」のことをさします。
- 給料明細を確認する
給料明細に標準報酬月額が記載されている場合があります。 - 勤務先の事務担当者に確認する
給料明細に標準報酬月額が記載されていない場合は、勤務先の事務担当者に確認すると教えてもらえます。 - 年金定期便で確認する
毎年誕生日月に送られてくる「年金定期便」にはあなたの標準報酬月額が記載されています。
これら3つのどれかの方法で簡単に標準報酬月額は確認できます!
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Ⅴ.出産手当金の申請方法は?
産休前に申請用紙をもらい、出産する病院と勤務先に提出して必要事項を記入してもらい、提出しましょう。
1.産休前に申請用紙をもらう
勤務先の総務担当窓口で「出産手当金支給申請書」をもらい、必要事項を記入します。
2.出産後、病院で申請用紙に必要事項を記入してもらう
出産したら、病院に「出産手当金支給申請書」を提出し、医師に必要事項を記入してもらいます。
3.勤務先にも申請用紙に記入してもらい、提出する
「出産手当金支給申請書」は、勤務先が記入する欄もあります。勤務先にも必要事項を記入してもらい、健康保険組合、協会けんぽなどに提出をします。
※勤務先の総務担当窓口が手続きを行ってくれる場合(勤務先の担当窓口から健康保険組合などに直接提出してくれる場合)もありますので、勤務先に確認してみましょう。
申請方法は以上になります。
申請後、1~2か月後に振り込まれます。
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Ⅵ.出産手当金に関するQ&A
出産手当金に関する疑問をQ&A方式でみてみましょう。
1.予定日より早く生まれたり、遅く生まれた場合もらえる額はどうなる?
また、予定日より遅く生まれた場合は、産休がその分長くもらえるため、出産手当金ももらえる期間が長くなります。
2.産休中、お給料がでたら出産手当金はもらえる?
3.傷病手当金をもらっている場合、重複してもらえる?
Ⅶ.さいごに
出産手当金は一定の条件を満たせば多くの方が貰える制度です。出産しても育休をとってまた、職場復帰される方は、ほとんどの場合は勤務先で手続きができると思いますので、出産前に必ず勤務先に確認するようにしましょう。
また、出産を機に退職する方も、条件を満たせば出産手当金はもらえますので、退職日を相談する際は注意しましょう!勤務先の総務担当者に確認すれば、いつ辞めれば出産手当金がもらえるのか教えてくれると思います。また、引き継ぎなどで、退職日に出勤をしてしまった場合は手当金がもらえなくなりますので、それもあわせて注意するようにしてくださいね。