私が産婦人科で看護師として働く中で、切迫早産で入院中の患者さんによく訴えられていたのが、大部屋で入院することによるストレスです。大部屋の隣の方のいびきがうるさくて眠れない、おならもできない、電話もできないなど悩みはさまざまです。ここでは、私が今まで患者さんから聴いた実際の声を元にその解消方法についてもお教えしていきます。
目次
Ⅰ.大部屋で入院するとどんなストレスがあるの?
切迫早産で大部屋で入院になった方々がどのようなストレスを抱えていたのか、実際の声を見ていきましょう。
1.同室者の生活音がまる聞こえのため気を遣う
病院によっても大部屋の作りは少し違います。4人部屋もあれば、6人部屋もありますし、お隣との仕切りがボード(壁など)でしっかり仕切られているところもあれば、カーテンのみで仕切られているところもあります。
私が働く産婦人科では、最大でも4人部屋、お隣との間はしっかりとしたボードで仕切られており、入り口のみカーテンという大部屋の造りでした。
それでも、お隣さんが動く音や、雑誌のページをめくる音、おならの音、カーテンを閉める音など色々な生活音が全てまる聞こえです。
お隣さんの音が聞こえるということは、自分の生活音も聞こえるという事ですよね。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
また、おならがでてしまうことがあり、隣の人に聞かれているのではと思うとそれも恥ずかしかった。
2.同室者のいびきがうるさい
切迫早産の入院患者様から「同室者のいびきがうるさい」という声は本当によく聞きました。
いびきがうるさくて眠れないという悩みはとても多いようです。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
3.同室者にマナー違反や非常識な行動をする方がいる
入院中大部屋である以上、マナーは必ず守る必要がありますよね。
しかし、残念ながらマナーを守られない方が稀にいらっしゃるのも事実です。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
4.同室者との人間関係がしんどい
切迫早産の入院は数か月と長期間の入院になることが多く、大部屋の同室者も同じように切迫早産で入院されている場合もあります。その場合、数か月間同じお部屋で暮らすわけですから、仲良くなられる方もいます。
しかし、一方で同室者との人間関係で悩む方もいるようです。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
スポンサーリンク
5.見舞客が来てうるさい
通常、病院では見舞客が大勢だったり、長時間になる場合はデイルームなど別室に移動するようお願いしています。しかし、切迫早産での入院では安静度が制限されており、ベッド上から動いていけない場合もあります。そのため、見舞客がベッドサイドまで来られるため、声が気になる方も多いようです。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
6.大部屋の環境が良くない
大部屋のため、お部屋の狭さを訴える方や、空調・換気のことなど大部屋の環境調整についての声もあります。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
部屋が狭くて息がつまりそう。
7.プライバシーが保てない
大部屋はカーテンのみで仕切られていることも多いため、お部屋内での会話はすべてまる聞こえです。医師や看護師(助産師)との会話も全て聞こえてしまうため、プライバシーが守られないと感じている方も多いようです。
【大部屋で切迫早産の入院をしていた方の実際の声】
スポンサーリンク
Ⅱ.大部屋入院によるストレス解消法は?
上記で述べたように、切迫早産で大部屋で入院されている方はさまざまなストレスや悩みを抱えながら入院生活をおくっています。切迫早産ではストレスによって子宮が収縮し、お腹が張りやすくなることもあるため、なるべくストレスは感じずに過ごしてもらいたいものです。
大部屋によるストレスや悩みを100%解消するのは難しいですが、少しでも解消できる方法がないかみていきましょう。
1.マナー違反は看護師(助産師)から注意してもらう
同室者の中に、消灯時間後に電話をしたり、お見舞客と長時間大声で話すなど非常識な行動やマナーを守らない方がいる場合、看護師に報告しましょう。
患者さん同士直接注意し合うと、後で揉め事になる場合もありますので、看護師から注意してもらうのがよいでしょう。
看護師へ報告する場合、同室者に報告内容が聞こえてしまうと気まずくなる場合は、メモに書いて看護師に報告するとよいでしょう。
2.同室者とは当たり障りなく付き合う
同室者さんと、少し話す分や挨拶をするのはいいですが、必要以上に仲良くする必要はありません。私が患者様の声を聴く限り、同室者さんと当たり障りなく付き合っている方の方が人間関係で悩まずに済んでいます。
切迫早産の入院は日中とにかく暇ですることがなく、みなさん暇つぶしに頭を悩ませるくらいです。そのため、同室者と会話できるのは息抜きになりますが、もし気が合わなかった場合はどうでしょう。同室では逃げ場もないため、入院期間中ずっと関わらなくてはならないとなると大変苦痛です。
患者さんの中には、「はじめはいい方と思い話していたが、途中から合わないことに気がつき入院中苦痛だった」と言っていた方もいました。もちろん、同室者さん同士本当に気が合って仲良しになり、入院生活が楽しかったという方もいますので、人によるとは思いますが。
3.病室を変えてもらう
同室者に合わない方がいる、どうしてもいびきがうるさくて眠れないなど睡眠に支障がでる、非常識な方がいて我慢ができないなど、我慢できないことがある場合は、看護師(助産師)に言うべきです。ストレスを抱えたまま入院生活をおくるのは辛いと思います。
もし、他の病室が空いていればすぐに病室移動をしてもらえますし、もし空きがなければ空き次第で移動は可能です。
看護師(助産師)は、患者様の入院環境を整えるのも仕事の一つ!
同室者のいびきで睡眠に支障がでているのに、その病室にずっといなさいなんてことはいいませんので、困った時は気軽に看護師(助産師)に相談しましょう。
1人で悩む必要はありません!もし、同室者に聞こえてしまうなどの理由から病室で相談しにくい場合は、メモなどに書いて相談してみるとよいでしょう。
4.個室に移動する
大部屋でストレスを感じるのであれば、個室に移動するのも1つの解決方法です。
しかし、個室に移動すると別途「差額ベッド代」が発生します。
個室の料金は病院やお部屋の大きさによっても異なりますが、私の勤務先の病院では一番安い個室でも1日4000円かかります。
【例】1日4000円かかる個室に1ヵ月入院した場合
4000円×31日=12万4000円
が差額ベッド代として余分にかかります。
お金に余裕がある方は個室を考えるのも1つの手だと思いますが、切迫早産での入院は2~3か月の長期入院になることもあるため、大抵の方は大部屋入院される方が多いでしょう。
5.プライバシーは守ってもらう
産婦人科に関わらず、入院中は看護師(助産師)が毎日病室に訪室し症状を観察しますし、主治医も病室に訪室して話をします。
そのため、主治医、看護師との会話はすべて同室者さんに聞こえてします。日々の関わりの中で会話が聞こえてしまうのは仕方がないことです。
しかし、これからの治療方針や、聞かれたくないことがある場合、大切な話の場合は、別室で話すことができます。
プライバシーについて気になることがある場合は担当医師や看護師にあらかじめ言っておく方がよいでしょう。
6.少しの工夫で環境調整をする
1人は寒いのでクーラーの温度を上げてほしいのに、他の人は暑いからクーラーの温度を下げてほしい。空調の温度については大部屋あるあるという程、同室者同士で多い揉め事の一つです。
- 暑くて寝苦しい夜はアイスノンをもらう
- 暑い方は空調が直接当たりやすい場所に移動してもらう
- 寒い方は、掛け布団をもう一枚貸してもらう
- 寒い方は、もう一枚羽織ってもらう
など、少し工夫するだけで解消できる場合もあります。
また、病室が乾燥している場合、濡れタオルを干したり、マスクをして寝るだけでも加湿されます。
さらに、トイレについては羞恥心に配慮ししっかりプライバシーを守ってもらいましょう。日中は車椅子でトイレに行くなどなるべくベッドサイドでトイレをしなくてもよいように主治医に相談したり、臭いについては消臭剤や消臭スプレーを置いてもらいましょう。
【こちらもおすすめ↓】
スポンサーリンク
Ⅲ.さいごに
切迫早産の入院は長期間になることが多いため、大部屋によるストレスはたくさんあると思います。ストレスを抱えたまま長期間入院生活をおくるのは辛いですよね。
病室が狭いことや、他の患者さんの生活音が聞こえるなど解消するのが難しい問題もありますが、中には看護師に相談することで解消できるストレスもあります。
1人で悩んでストレスをため込むのではなく、まずは今ある悩みを看護師に相談してみましょう。
看護師は常に患者さんの環境が快適に保たれるようにすることも看護だと考えています。