子宮筋腫でも赤ちゃんがほしい!子宮を取らない手術法【筋腫核出術】

子宮筋腫は30~40代の女性に多く見られますが、近年晩婚化の進行に伴い、妊娠を希望される方に子宮筋腫があるということが珍しくなくなりました。子宮筋腫の約半数は無症状で経過するため、症状がない場合は特に何もせず経過観察をします。しかし、中には症状が強かったり筋腫が大きくなった場合は手術が必要になりますが、妊娠を希望される場合は手術の方法が限られてきます。

子宮筋腫の根治手術と言えば、「単純子宮全摘術」という子宮を全て取ってしまう手術ですが、妊娠を希望される方の場合は「筋腫核出術」という子宮を温存し、筋腫のみを取る手術を行います。「筋腫核出術」と言っても1通りではなく、開腹する方法や腹腔鏡下で行う方法など、何種類か方法がありますので、ここでは「筋腫核出術」について詳しく解説していきましょう。

Ⅰ.赤ちゃんが欲しい人の子宮筋腫の手術方法とは?

子宮筋腫の手術方法で、根治術(疾患を完全に治療する方法)は、子宮を全て取ってしまう「単純子宮全摘術」という方法になります。

しかし、妊娠を希望される方や子宮を全て取ることに抵抗がある方の場合は、子宮を温存し筋腫のみを取る「筋腫核出術」という方法が選択されます。

「筋腫核出術」子宮を温存できるため、手術後も妊娠できますし、筋腫による不妊の方も手術後の妊娠が望めるようになります。しかし、根治術はあくまで「単純子宮全摘術」であり、「筋腫核出術」ではありません。

筋腫核出術は子宮を温存するため、手術後に妊娠が可能であるというメリットがありますが、その反面デメリットもあります。では、筋腫核出術のデメリットについて見ていきましょう。

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Ⅱ.筋腫核出術のデメリットとは?

筋腫核出術には、以下のような3つのデメリットがあります。

①子宮筋腫が再発

筋腫核出術で筋腫のみを取った場合、再発する可能性があります。手術で今ある筋腫を全て取り除いたとしても、また新たに別の場所から筋腫が再発するといったことは珍しいことではありません。

特に30代で筋腫核出術を行った場合、再度手術が必要になる方は20%以上だと言われています。そのため、筋腫核出術を行い一度は筋腫がなくなったとしても、再発しないか定期的に検診を行う必要があります。

②手術中の出血のリスク

筋腫核出術は、子宮を丸ごと摘出する単純子宮全摘術に比べると、出血量が多くなるリスクがあります。子宮は血流が豊富な臓器のため、筋腫が大きい場合や多発している場合(子宮筋腫が数個ある場合)は、特に出血量が増えることが考えられるでしょう。そのため、場合によっては手術中や術後に輸血が必要になることもあるでしょう。

医師が、輸血が必要かもしれないと判断した場合は、自己血と言って手術の前に自分の血液を貯血(自分の血をあらかじめ取って貯めておく方法)することもあります。自己血の場合は、自分の血液であるため感染症やアレルギー反応の心配がありません。

③出産時に子宮破裂のリスク

筋腫核出術後の出産方法ですが、子宮筋層に手術跡(瘢痕部)があると、その部分が薄くなり出産時に破裂する危険性があります。その場合、帝王切開の方が安全性が高いですが、経腟的に生むのか、帝王切開をするのかは、取った筋腫の大きさや場所などにもよるため、必ずしも帝王切開をしなければいけないというわけではありません。手術をどのように行い、どれくらいの大きさの筋腫を取ったかなどを医師に伝える必要があるため、できれば筋腫核出術を行った病院で妊婦検診や出産を行うことをおすすめします。

子宮筋腫核出術のデメリットについてお話してきましたが、このような話を聞くと、筋腫核出術を行う事が怖くなった方もいるかもしれません。しかし、子宮をすべて取ってしまっては妊娠することができませんし、既にお子様がいてもう妊娠は希望していない方でも女性にとって子宮がなくなることは大変辛いことだと思います。

筋腫核出術を行う上で重要なことは、上記で述べたようなデメリットもあるということを理解しておくことが大切です。再発リスクも、再発リスクが高いというだけで、全ての方が再発するわけではありませんし、手術中の出血に関しても、出血が多い場合は輸血で対処できます。筋腫核出後の出産方法についても、医師とよく相談をして安全な出産方法を選択することになると思いますので、むやみに怖がる必要はないでしょう。

では、次は筋腫核出術の手術方法について見ていきましょう。

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Ⅲ.筋腫核出術の4つの手術方法

筋腫核出術はお腹を開腹して行う方法や、腹腔鏡を使用して行う方法などさまざまな方法があります。では、4つの手術方法とそれぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

①開腹して筋腫核出術を行う方法

まずは、お腹をメスで切って開腹して筋腫を核出する方法です。

開腹術のメリット

  1. 全てのタイプの子宮筋腫に適応できる
  2. お腹を開いて手術するため、お腹全体が観察できる
  3. お腹の中がよく見えるため、手術時間も他の手術より短くてすむ

開腹術のデメリット

  1. 傷口が大きい
  2. 侵襲が大きいため、痛みも他の手術より強く、社会復帰も遅くなる
  3. 手術後、お腹の中が癒着する(手術などにより損傷を受けた組織や臓器表面がくっつくこと)ことがある

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②膣式に筋腫核出術を行う方法

開腹せずに、経腟的に(膣から)筋腫を核出する方法です。

膣式筋腫核出術のメリット

  1. 開腹しないため、傷口がない
  2. お腹を切らないため侵襲が少なく、手術後の痛みも少ない
  3. 侵襲が少ないため、手術後の社会復帰が早い

膣式筋腫核出術のデメリット

  1. 適応が少ない
    子宮頚部にある子宮筋腫に対しては適応があるが、その他の場所に筋腫がある場合はこの手術では取れない
  2. お腹の中を見ながら手術できないため、医師の技術力が必要となる
  3. 筋腫が大きい場合などは手術時間が長くなることがある

③腹腔鏡で筋腫核出術を行う方法

開腹せずに、お腹に1~1.5センチ程度の小さな穴をあけ、腹腔鏡というカメラを入れてお腹の中を観察しながら手術を進めます。その他に2~3カ所の穴をあけ、メスやハサミをいれてカメラで見ながら筋腫を取り除く手術方法です。

腹腔鏡筋腫核出術のメリット

  1. 傷口が小さい
  2. 開腹しないため侵襲が少なく、手術後の痛みも少ない
  3. 手術後の社会復帰が早い
  4. 手術後の癒着が少ない

腹腔鏡筋腫核出術のデメリット

  1. 適応に制限があり、すべての子宮筋腫がこの手術に適応するわけではない
  2. 筋腫が7~10センチ以上の場合は、腹腔鏡のみで行うことが難しく、少しお腹を開腹(小切開)する場合もある
  3. 手術をしてみて難しい場合は急遽、開腹術に切り替わることがある
  4. 高度な技術が必要であるため、医師の熟練が必要である
  5. 腹腔鏡手術は気腹(お腹の中に炭酸ガスを入れてお腹を膨らます)を行うため、高炭酸ガス血症や不整脈を起こすことがある

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④子宮鏡で筋腫核出術を行う方法

開腹せずに、経腟的(膣から)に子宮鏡(カメラ)を入れて子宮筋腫を核出する方法です。

子宮鏡下筋腫核出術のメリット

  1. 開腹しないため侵襲が少なく、手術後の痛みも少ない
  2. 通常は手術の翌日に退院でき、社会復帰も早い
  3. 手術後の癒着が少ない
  4. 開腹しないため、傷口がない

子宮鏡下筋腫核出術のデメリット

  1. 粘膜下筋腫しか適応しない手術である
  2. 粘膜下筋腫でも5~6㎝を超える場合は1回では取り切れず、数回に分けて取り除く場合がある
  3. 高度な技術が必要であるため医師の熟練が必要となる

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Ⅳ.まとめ

赤ちゃんがほしい方で子宮筋腫の手術をしなければならない方は筋腫核出術を行いますが、筋腫核出術も4つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあるということは分かって頂けたでしょうか?

筋腫核出術の方法 方法 適応 痛み 退院 社会復帰
①開腹 開腹して筋腫を核出

全てのタイプ

強い 5~7日 2~4週間
②膣式 膣から筋腫を核出 頸部筋腫 弱い 翌日 数日
③腹腔鏡 腹腔鏡で筋腫を核出 ・筋層内筋腫
・漿膜下筋腫
弱い 3~4日 1~2週間
④子宮鏡 子宮鏡で筋腫を核出 粘膜下筋腫 弱い 翌日 数日

どの方法で筋腫核出術を行うかは、子宮筋腫の種類や大きさ、筋腫が発生している場所によっても異なります。また、病院により器具が揃っていなかったり、高度な技術を要する手術もあるため、上記の手術を行いっていない病院もあります。納得して手術が受けることができるよう、医師の説明をしっかりと受け、他の手術方法を選択したい場合はセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。

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