基礎知識

切迫早産だと出産は早まる?早産になる確率や、出産時期は?

切迫早産で入院している方は、早産になる危険性があるため入院しているので、「早産になるかもしれない」と不安に思われていると思います。しかし、意外と早産にはならず、正期産に出産する方の方が多いということはご存知でしょうか?また、中には予定日を過ぎても出産にならない方もいます。

ここでは、私が今まで産婦人科で看護師として勤務する中での経験や、私自身の実体験を元に、切迫早産の方の出産時期や早産になる確率について解説していきます。

Ⅰ.切迫早産とは

切迫早産とは、「妊娠22週~37週未満」

  • 子宮収縮が頻繁に起こる
  • 子宮の出口が開く
  • 破水して羊水が外に出てくる
  • 子宮頸管が柔らかくなる

などの兆候があり、早産の危険性が高い状態をいいます。
つまり、「早産になる一歩手前の状態」のことです。

Ⅱ.切迫早産で入院。理想的な退院、出産の流れは?

切迫早産で長期入院をしている場合の、理想的な退院、出産の流れは

  1. 妊娠35~36週に一旦自宅へ退院
  2. 妊娠37週になるまでは自宅で安静に過ごす
  3. 妊娠37週以降は正期産になるため、赤ちゃんがいつ生まれてきてもいい状態である
    そのため、安静の必要はなくいつも通りの普段の生活をして陣痛がくる時期を待つ
  4. 正期産(妊娠37週~42週未満)に陣痛がきて出産となる

上記が切迫早産で長期入院した場合に、医師から言われる理想的な退院→出産の流れです。

【関連記事】切迫早産の退院時期についてはこちらも併せてお読み下さい↓
看護師が教える!切迫早産で入院すると「退院」はいつになるのか?

Ⅲ.思い通りにはいかない出産の時期

胎児は正期産で生まれてくるのが正常であるため、なるべく早産にならずに正期産で生まれてきてほしいものです。しかし、全員が上記のⅡの項目でお話したように理想通りの時期に出産できるわけではありません。

入院治療中に早産になってしまう場合もありますし、点滴を中止すると「張り返し」からそのまま陣痛へとつながり、出産になってしまう場合もあります。
また、退院後妊娠42週を過ぎてもなかなか陣痛が来ず、過期産(妊娠42週以降の出産)となってしまう方もいます。

【体験談】私の場合

私も、切迫早産で2か月半入院し、妊娠36週でウテメリン子宮収縮抑制剤)の点滴を中止しました。医師からは、午前中に点滴を中止し、その日一日は様子をみて大丈夫であれば次の日に退院できると言われていました。そのため、一旦退院して正期産に陣痛がくるまでは自宅でゆっくりしようと思っていました。

しかし、点滴を午前中に中止してから、だんだんとお腹の張りが強くなっていき、その日の夕方から陣痛が開始となり、そのまま出産となってしまいました。
妊娠36週での出産となってしまったため早産ではありましたが、無事元気な赤ちゃんを生むことができました。

予定 実際
妊娠36週0日
朝10:00にウテメリンの点滴中止
一日様子をみて
入院
36週0日
夕方16時頃より陣痛開始
次の日(36週1日)
に退院
出産となる

【体験談】A氏(30代)の場合

私は、切迫早産で約1ヵ月半入院し、妊娠36週3日でウテメリンの点滴を中止し退院しました。お医者さんからは、また陣痛がきたら入院するよう言われていましたが、予定日がきても陣痛がきませんでした。

緊急入院した時は、早産になりそうで怖くて、毎日早産にならないように祈っていた時期もあったのに、まさか予定日を過ぎても陣痛がこないなんて何で?という気持ちになりました。

結局、お医者さんからは、よく歩いたり運動したりするように言われ、予定日から5日おくれで破水し、無事出産することができました。入院中は動きたくても安静にするように言われてじっとしていたため体力も落ちており、予定日近くになって急に動くように言われた時は、歩くのも結構辛かったです。早産の心配をしたり、なかなか生まれてこないことを心配したり、出産って何があるかわからないなと身をもって体験しました。

※A氏の体験談は本人の了承を得て掲載させていただいております。

スポンサーリンク

Ⅳ.早産になる確率は?

切迫早産になるのは、全妊娠のうち約15%といわれており、決して珍しいものではないですよね。しかし早産になるのは、全妊娠のうち約5%であるといわれています。

つまり、切迫早産と診断されても、治療をすれば早産にならずにすむ方がたくさんいると言うことです。

私の場合は、ウテメリン(子宮収縮抑制剤)の点滴を妊娠36週で中止後、その日のうちに陣痛がきてしまったため、退院できずにそのまま出産となってしまいましたが、私のようにウテメリン(子宮収縮抑制剤)の点滴を中止して、そのまま陣痛がくる人は、入院患者の約20%程度です※私が勤務していた産婦人科調べ(全国的なデータではありません)

つまり、切迫早産で入院している方のうち約80%の方は、退院して正期産で出産することができます!

切迫早産で入院していた方は早産になる危険性があると言われていたでしょうから、意外と早産になる方が少ないことに驚かれるかもしれませんが、治療をすれば正期産で元気な赤ちゃんを出産することが可能だということです。

Ⅴ.最後に

切迫早産になると、ほとんどの方が早産になると思われるかもしれませんが、治療をすれば意外と早産になる方よりも、正期産で無事元気な赤ちゃんを出産する方の方が多いということが分かっていただけましたか?今、切迫早産で治療中の方もそれを聞いて安心してもらえたらと思います。

しかしながら、中には感染などが原因で治療をしても早産になってしまう方や、私のように点滴中止をしたその日に出産になってしまう方もいるということも覚えておいていただきたいです。

【関連記事】こちらも併せてお読みください↓

生まれたての赤ちゃん
わかりやすい早産の定義、原因、症状、治療、予防、生存率の全知識!「早産」とは、妊娠22週から37週未満の分娩のことをいいます。 通常、赤ちゃんは妊娠37~42週未満の「正期産」と呼ばれる時期に生ま...
切迫早産の退院
看護師が教える!切迫早産で入院すると「退院」はいつになるのか?切迫早産になると長期入院になることが多いため、一体いつ退院ができるのかはとても気になると思います。赤ちゃんは早産になればなるほど、死亡率...