切迫早産で入院すると、シャワーが禁止されるということはよくあることです。私の勤務先の産婦人科でも、入院直後はシャワーを禁止されている方が多かったですし、私も実際に切迫早産で入院した時は、入院後2~3週間はシャワーを禁止されていました。
お風呂に入れないなんて、普段の生活では考えられないことですよね?できることなら毎日でも入りたいものです!
切迫早産でシャワーに入ると、どのような影響があるのでしょうか?
ここでは、切迫早産で入院すると、シャワーが禁止になる理由について、いつからシャワーに入っても良いのか、切迫早産の方のシャワーの浴び方についてなども詳しくお話していきます。
目次
Ⅰ.切迫早産で入院したらシャワーが禁止になる理由
切迫早産で入院すると、シャワーがなぜ禁止になるのかというと、切迫早産の治療は安静が第一だからです。
入院すると、どれくらい活動することができるのかという「安静度」について看護師から説明があると思いますが、シャワーだけでなく、トイレや洗面も禁止、食事も寝て食べなければならない場合もあります。
切迫早産と診断されると、まずはお腹の張りを抑える薬(子宮収縮抑制剤)が処方されます。≫子宮収縮抑制剤についてはこちらで詳しく解説!
それでも、お腹の張りがおさまらない場合は自宅安静をするよう言われ、さらに進行すると入院になるというパターンの方が多いかと思います。そのため、切迫早産で入院するということは、危険な状態であることも多く、絶対安静を強いられるのです。シャワー浴は動く動作も多いため、安静が保てないという理由から、入院直後の安静が必要な時期は禁止されることも多いでしょう。
※切迫早産の入院基準は、病院や医師の考え方によっても多少異なります。
例えば、私の勤務先の病院では、切迫早産の治療としては自宅安静で大丈夫な方の場合でも、自宅にいると上の子がいるため安静が保てないという理由がある場合、主治医と相談して入院になる方もいました。そのような方の場合は、シャワーは禁止になりません。
シャワーが禁止になるのか、ならないのかについては、その方のお腹の張り具合や、子宮頚管の長さ、赤ちゃんの状態、出血の有無、医師の考え方によっても異なりますので、入院したからといって絶対にシャワーが禁止になるわけではないということも知っておいていただけたらと思います。
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Ⅱ.シャワー解禁はいつから?
切迫早産の入院でシャワーが禁止になった場合、いつからシャワー解禁になるのかは、お腹の張りが落ち着いたらという曖昧な感じであり、正直これといった明確な基準などはありません。
そのため、いつからシャワーに入れるのかについては、主治医の判断によりますので、人により時期は異なるでしょう。
私が産婦人科で勤務する中で一番多かったパターンとしては、入院後1~2週間はシャワーが禁止されていました。その後お腹の張りが軽減していれば、週に1~2回のシャワー浴の許可がおりていました。
私自身も(切迫早産で妊娠26週から入院)、入院直後はシャワーが禁止されていましたが、2~3週間後になると、少しお腹の張りが落ち着いてきたということで、週2回であればシャワーに入ってもいいとの許可がおりました。入院2ヵ月後くらいには安静度も拡大し、歩行制限もなくなったため、シャワーも毎日入ることができていました。
シャワーがいつ入れるようになるのかについては、お腹の張りの状態によるのですが、それだけではなく、主治医の考え方によって異なる場合があります。そのため、主治医との相談次第ではシャワーが解禁になることもあるでしょう。
実は!私が看護師として働く中で、シャワー制限がかかっている患者さんが「どうしてもシャワーに入りたい」と言っていると医師にお願いをしたところ、「週1回くらいならシャワー可」とシャワーの許可がおりた例は沢山あるのです!
もちろん、お腹が頻回に張るような場合は許可できませんが、ある程度落ち着いてきていたら許可がおりる場合はありますので、
「どうしても我慢ができない!シャワーにはいれなくてストレスだ!」
という方は、ぜひ看護師や主治医に相談してみて下さい!
医師との相談次第では、もしかするとシャワーの許可がでるかもしれません!
≫シャワー禁止で悩んでいる方はぜひこちらをどうぞ↓
切迫早産|シャワー禁止で頭が痒い臭い!皆シャンプーはどうしてる?
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Ⅲ.切迫早産で入院中のシャワーの浴び方、注意点!
切迫早産でシャワーが禁止になったいた方も、医師の許可がおりればシャワーに入ることができるようになります。しかし、いきなり毎日シャワーに入れるというわけではありません。まずは、週に1~2回の頻度でシャワーに入ってもいいという許可がおりる場合が多く、状態が落ち着いてくるに従って、シャワーを浴びる頻度も増えるでしょう。
では、切迫早産で入院中の方がシャワーに入る際の注意点についてみていきましょう。
1.シャワー直前に点滴を止めてもらう
まず、子宮収縮抑制剤などの点滴をしている方は点滴をしたままではシャワーにはいれません。
シャワーに入る直前に点滴を止めてもらう必要があります。
点滴の針は感染の点から通常72時間毎に刺し替える(別の血管に点滴の針を刺し直す)必要があります。そのため、点滴の刺し替え日とシャワーの日がかぶっている場合は、点滴の針ごと抜いてもらいましょう。
※通常は72時間毎に刺し替えしますが、点滴がなかなか入りにくい方などは、医師の許可があればもっと長い間針を留置したままにできることがあります。
点滴の刺し替え日ではない日にシャワーをする場合は、針は抜かずにロックしてもらいます。ロックというのは、点滴のルートだけ外してもらい、針は入れたままの状態にすることです。
その後、針を固定しているテープが水で濡れないよう、防水のフィルムを貼ってもらいましょう。
※「針は入れたままの状態にする」と書きましたが、実際は針が入っているわけではなく、プラスチック製の細くて柔らかいストローのようなものが入っているだけですのでご安心下さい。
2.シャワー室ではゆっくり脱衣しよう
点滴を止めた状態ですので、お腹がとても張りやすい状態になっています。
脱衣の際は、なるべくゆっくり動くようにしましょう。
椅子がある場合は、座りながらゆっくり脱衣することをおすすめします。
私も、入院3週間後にはじめてシャワーの許可がおりたのですが、はじめてのシャワーの時は「点滴の効果ってすごいんだな」と身をもって体感しました。
シャワーが解禁になった頃は、点滴をしながらトイレまで歩行してもお腹はそこまで張らなくなっていました。しかし、点滴を止めてシャワーに入る際は少し動くだけでお腹がカチカチに張ってしまい、子宮がギューっと収縮しているのがよくわかりました。
入院前に感じた「産まれそう」という感覚がよみがえってきて、少し怖くなりましたが、椅子に座って休憩をしながらゆっくりと休憩しながら動作を行うことで、なんとかシャワーを乗り切ることができました。
3.シャワーを浴びる
シャワーを浴びる際の注意点についてみていきましょう。
①椅子に座る
シャワーを浴びる際は、必ず椅子に座って浴びるようにしましょう。万が一、椅子がない場合は、椅子を準備してもらうことをおすすめします。
②シャワーの温度は低くしすぎない
シャワーの温度にも注意しましょう。低い温度でシャワーを浴びて体を冷やしてしまうと、お腹が張りやすくなってしまいます。
なるべく体は冷やさないようにしましょう。
冬場などシャワー室内が寒い時は、熱めのお湯をしばらく出したままにしておくと、浴室内が温まります。
③シャワー時間は短めにする
お腹が張らないようにするための点滴(子宮収縮抑制剤の点滴)をしている方は、点滴を止めているためお腹が張りやすくなっています。
また、切迫早産の入院中は安静が第一のため寝たきり状態でいることが多く、筋力や体力が低下しています。そのため、少しくだけでも体の疲れやだるさを感じる方が多いでしょう。
以上のことから、
シャワーの時間は短めにして体に負担をかけないようにしましょう。
私も、入院中はほぼ寝たきりの状態だったため、はじめてのシャワー時は自分の体力のなさにびっくりしました。
シャンプーの時は腕を上げて髪の毛を洗いますよね。それができなくなってしまっていたのです!普段何気なく行っている行為のため「まさか?!」と思いましたが、腕がだるくて重くて、ずっと腕を上げているのが辛かったのです。シャンプーをするのでさえ、休憩しながら片腕ずつ上げて、ゆっくり洗うような状態でした。
シャワーの後も、どっと疲れがでてしまい、少し息切れもしていました。ただシャワーを浴びるだけなのに、こんなにも体に負担を感じるとは思っていなかったためびっくりしました。
④お腹の張りが強い時は、無理はしない
シャワー中にお腹の張りが強くなり、しばらくしても張りがおさまらないような場合は無理をせずシャワーを中断しましょう。
無理してしまったがゆえに、悪化してしまい、今までよりもさらに安静度が制限されてしまうとも限りません。
安静度が厳しい場合は、シャワーが禁止されるだけでなく、トイレも行かせてもらえません。尿道に管を入れてバックの中に自然に尿ができるようにし、排便はベッド上でしなくてはいけなくなるかもしれませんよ。また、食事も寝たまま食べている方もいます。
もしそうなると今よりも辛い状況になってしまうため、無理はしない方がいいでしょう。
このような話をすると、切迫早産でシャワーに入るのが怖くなった方もいるかもしれません。しかし、無理をしなければ大丈夫です。お腹の張りが強くなり、張りがおさまらなくなってしまった場合は、まずはシャワー室にあるナースコールを押して、看護師さんに迎えに来てもらいましょう。点滴を再開してしばらくベッドで安静にしていればおさまることもありますし、必要な場合はモニターで子宮収縮の状態を確認できます。入院中はすぐに医師の診察を受けることもできますので安心してくださいね。
4.ゆっくり更衣をしよう
シャワーが終わったら、体を拭いて更衣します。
この場合も、
なるべく椅子に座ってゆっくりと動作を行いましょう。
妊娠中は体が乾燥しやすいため、ボディクリームを塗っておくとよいでしょう。
しかし、点滴の刺し替えをされる方は、腕にボディクリームを塗るのは点滴を刺し替えた後にして下さい。点滴のルート固定するためのテープが剥がれやすくなってしまいます。
5.シャワー終了後はすぐに点滴を再開しよう
点滴を止めていると、どんどんお腹が張りやすくなってしまいますので、シャワーが終了したら、なるべく早めに点滴を再開しましょう。
6.シャワー後は注意しよう
シャワーを浴びた日は、もしかするといつもよりお腹が張りやすくなるかもしれません。そこで、シャワーを浴びた後は、特に注意してほしいことがあります。
- お腹の張りが強くなっていないか
- お腹が張る感覚が短くなっていないか
- 胎動は感じるか
- 性器出血がないか
- 腹痛はないか
上記の点に注意しておきましょう。
いつもより、症状が強くなっている場合は必ず看護師や医師に報告をしてくださいね。
私も、シャワー時は点滴をしている時よりもお腹がよく張りましたし、体もだるくなりました。点滴を再開してからは、お腹の張りは落ち着いてきましたが、はじめてのシャワーの日の夜は、いつもよりよくお腹が張っていたので、モニターをつけてもらい問題がないことを確認してもらいました。お腹の中の状態はわからないため、心配なことがある場合は必ず報告をして診てもらい、安心できるようにしましょう。
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Ⅳ.【私の体験談】3週間ぶりのシャワーは本当に幸せ!!
私は、切迫早産で妊娠26週から入院になりました。
入院になった直後は、病室内にトイレがついていたため、トイレ時のみ歩行が許可されましたが、それ以外はベッド上安静が必要でした。
シャワーも禁止だったため、毎日助産師さんが持って来てくれた蒸しタオルで全身清拭を行いました。
シャンプーは、病棟内にあるシャンプー台で助産師さんがシャンプーをしてくれますが、週に1回程度しかしてもらえず、正直もっとしてもらいたかったです。
しかし、忙しそうな姿をみるとなかなか頼みにくいものですよね。同じ職業なだけに、業務の忙しさはよくわかります。私が頼むことで、「忙しくてシャンプーなんてしてる暇なんてないのに。」と思われたらどうしよう?!と考えると、なかなか「シャンプーしてください」とは頼めませんでした。
シャワーができなくて一番辛かったことは、とにかく体がベタベタして気持ち悪いことと、頭も痒くて、臭かったことです!本当に耐えられませんでした。
体は毎日蒸しタオルで拭いていましたが、拭くだけだとしっかり汚れが落ちている気がしません。
髪の毛も、シャンプーしないで2日目まではまだ耐えられるのですが、3日目になると髪の毛がしっとりベタっとしてきて、頭皮が痒くて痒くて我慢ができなくなりました。また、ふとした瞬間に頭皮の匂いが臭い気がして、助産師さんに近づかれるのも嫌になりました。本当に辛かったです。
入院して3週間程度たった頃、やっと念願のシャワーの許可がおりました。週に2回までという条件付きでしたが、私にとっては嬉しくて嬉しくてたまらない出来事でした。
入院後はじめてシャワーを浴びた時の爽快感と幸せな気持ちといったら、きっと一生忘れられないでしょう!我慢し我慢して、我慢しまくったことが、やっと念願叶った時のような本当に幸せなことでした。
「シャワーごときで、そんなに?!大げさだな!!」
と思うかもしれませんが、3週間お風呂に入れなかったことがありますか?
本当に地獄なんです!特に夏場だったしね…。
何はともあれ、シャワーに入れるようになって少しは入院生活のストレスがましになりました!≫切迫早産入院生活のストレス解消法は詳しくこちらからどうぞ!
Ⅴ.さいごに
切迫早産で入院し、シャワーが禁止になった方はとても辛いですよね。いつになったらシャワーに入れるのかと心待ちにされていると思います。
シャワーが禁止の理由は、もちろん安静が必要だからですが、私の経験上、中には医師に相談してみると案外すぐにシャワーが解禁になったという例もありますので、まずは医師と相談してみるとよいでしょう。
また、シャワーに入れなくても、足浴(バケツにお湯をはって足湯を行うこと)だけでもできますし、洗髪車を使ってシャンプーをベッド上でしてもらえるなど、いくらでも対応は可能です。
シャワーに入れないことはとてもストレスになりますよね。切迫早産の方はストレスも子宮収縮の原因になりますので、辛いことがある場合は1人で悩まず、まずは看護師や医師に相談してみましょう。